たみ子さんの四次元ポケット
たみ子さんには四次元ポケットがある。それもかなりの量が入るらしい。らっこにも負けないほどの。
上下総義歯のたみ子さんは、ご飯の時だけ入れ歯をはめてそれ以外は外して過ごされている。
口癖は「勝って兜の緒を締めよ」
一日に何回も独り言で話している。認知症が進んでおり、通常の会話をするは難しいけど、この言葉だけは絶対に忘れないらしい。
たみ子さんの過去が気になるところだが、「たみ子、、、だ」の返事しかもらえない。
ある日のお昼ごはん前、専用のケースに入れておいた入れ歯が、いくら探しても見当たらない。しかもケースはあるのに中身だけがない。誰かが外し忘れたのかなと、口の中を確認するも見当たらない。
師長さんに報告すると絶対に怒られるから報告したくないと、必死に自分だけで探して30分。
見つからない。
あきらめてとりあえず先輩に相談した。先輩も必死になって探したが見当たらず…。
ゴミに捨ててしまったのではないかとゴミステーションにまでいった。
（500床近くある病院のゴミステーションにあるごみの量と言ったらナゴヤドーム並みだ）
ゴミだらけになってみたけど、見つからない。
オワッタ。
やばい、師長には嫌味を言われるし、家族にも怒られる。
そんなこんなしていたら夕方になってしまった。もうすぐ夜ご飯もくるし、師長も退勤してしまう。
言うしかない。と覚悟を決めて、最後のあがきで患者さんお部屋へ行き、「ないよね…」とつぶやいて部屋を出ようとしたその時。
カタカタンと何かが机の上に落下する音がして振り向く。
カサカサに乾いた下の歯が無造作に机の上に置かれている。
これは夢か？どこから出てきたんだ？なんで下だけ？上の歯は？
と思いながらたみ子さんを見ると、左手がおむつの中に入っている。
そしてその瞬間。
スーッ。出てきた！！上の歯だ！！！
私はその場に崩れ落ちた。はぁぁぁぁぁぁぁと大きくため息をついた。呆れというよりも安心。
病棟中が笑いに包まれた。
「勝って兜の緒を締めよ」
これからも気を気を引き締めて仕事頑張ります（泣）
アセリオは何で15分で投与なの？
発熱時や鎮痛時に使用されるアセリオ。なぜ、アセリオは15分という短時間で投与するのかについて勉強していきたいと思います。
〇そもそもアセリオって？
アセリオ＝非麻薬性消炎鎮痛薬
アセトアミノフェンを有効成分とする、国内唯一の静駐製剤
内服薬だと、カロナールと同等成分である
副作用が少ないのも特徴。
またミキシングが必要な、ロピオンといったNSAIDsよりも手軽に使用できる。
〇薬効
薬効は解熱、鎮痛作用。ロキソニンのような抗炎症作用はない。
〇投与量と投与間隔
投与量は使用用途により異なる。
発熱時＝1500mg/日
疼痛時＝4000mg/日
※体重50kg未満の場合は、60mg/kg/日まで
投与間隔は、どちらも4~6時間以上空けての投与
※ただし、発熱時に使用する際は、1日2回までの投与
点滴、内服含めての最大容量！！定期でカロナール内服してて、指示にアセリオ投与が入っている患者さんがいたら注意だね！！私は危うく過量投与しかけました…。指示簿を鵜呑みにするのは危険！
施行者責任だから！！！
〇投与時間
投与時間は15分！！！
理由は、アセリオの最高血中濃度到達時間が15分であり、アセリオが中枢神経を介して鎮痛効果が出現する薬であるため。
ん？それは日本語ですか？と思ったそこのあなた、大丈夫です。私にも意味不明です。
もう少し調べてみました！！
アセリオの最高血中濃度到達時間が15分なのは納得ですよね？15分で血液がアセリオでMAXに満たされるってこと。
中枢神経を介してっていうのは、わかりやすく表現をすると、司令塔である脳をだまして痛くないと思わせる！ということ。
だから、しっかり脳（脳脊髄液中）にアセリオを移行させて濃度を上げるのが大事ってこと！
らしい。
この脳脊髄液中にアセリオが移行するのは、血液中の濃度と脳脊髄液中の濃度の差で薬剤が移行していくらしい。（詳しくは後日、濃度勾配について解説予定）
だから、15分で血中濃度を最高にしてしっかり脳を麻痺させる必要があるんだね！
〇ちなみに
15分以上かけて投与すると、、、
血中最高濃度まで到達しないから、効果が下がる！
15分以下で投与すると、、、
循環動態に影響を及ぼす。急速投与による血圧低下を引き起こす可能性がある
15分で投与することにこんな重要な意味があるのは知らなかった….。
それでは明日も元気にナイチンゲールしていきましょう！
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